□ 構造式1:either A or B(either ~ orの相関語句)
□ 構造式2:have yet to(yetの潜伏否定の用法)
  ⇒展開式:have yet to ≒ have not pp ~ yet(完了否定)   
□ 構造式3:(have yet to)+(either A or B)
  ⇒展開式:(not)+(either A or B) = neither A nor B


構造式1は、英文の構成要素のAかBのいずれかを選択する相関語句です。もちろん副詞eitherを使わないで等位接続詞orによっても「AかBのいずれか」を表現することはできますが、orにはそれ以外の多様な構造的機能を持っているために、副詞eitherを用いることによって意味の明確化と構成要素であるAとBを強調することができるのです。

今回のテーマは、このeither ~ orの慣用語句に否定の副詞yetを合体した場合の効果について取り上げます。

それが構造式3です。副詞yetには多くの構造的機能がありますが、この「潜伏否定語」としての用法はその一つです。単純な否定(not)ではなく、肯定文の中で「完了否定(まだ~し終えていない)」の意味を持つ用法なのです。

そして、構造式2が示すように助動詞have toと合体する形で用いられることがありますが、その理由は肯定文で使用される「潜伏否定語」に特有の「完了否定」の意味があるからです。つまり、「まだ~し終えていない(から、これからし終えなければならない)」という「完了の義務(~し終えなければならない)」合わせて持っているからです。

これを助動詞「have to」で表現しているのです。

構造式3は、この「潜伏否定語」の表現法とeither ~ orという相関語句が合体した表現法です。

そこで、先ず、否定語とeither ~ orという相関語句が合体すれば、構造式3の展開式が示すように、構成要素であるAとBのいずれかを否定するものではなく、AとBの双方を否定することになります。

次に、それに加えて構造式2の展開式が示すように、否定が「完了否定(まだ~し終えていない)」の意味を持ち、さらに未完了に対して「完了の義務(~し終えなければならない)」という意味を暗に併せ持つ複雑な表現法なのです。

等位接続詞orが副詞eitherとyet、そして助動詞have toと組み合わさることによって、4重の意味が生まれているのです。

翻訳作業における語句の単なる意味の暗記ではなく、構造分析の重要性に気づいてもらいたいと思います。


□構造式1:S+V+N1 (the fact) that-cl(N2) (同格の接続詞that)
⇒展開式:S+V+N1=N2(N1とN2が同格関係)

□構造式2:S+V+N1(先行詞) that-cl(N2)(関係代名詞that)
⇒展開式:S+V+N1+N2-cl(N1(S2)+V2)(N1の代名詞がN2節内の構成要素


同格表現の接続語thatにしても、また関係代名詞thatにしてもその働きは共に同じです。すなわち、前方の名詞ないしは名詞相当語句(N1)の内容を後方の付加的構造物(N2)で説明しているのです。

しかし、その構造的役割が同じであっても、表現法の違いによって訳出は異なってくるのです。一方の訳出は「N2というN1」となりますし、他方は「N2であるところのN1」となるのです。

従って、両者の明確な区別を構造的に示す必要があり、それが2つの展開式なのです。つまり、接続詞thatの場合は、従属節(N2)を前方の名詞ないしは名詞相当語句に「接続させる働きだけ」であり、その意味でN2内の従動詞の構造的機能は満たされているのです。

ところが、他方の関係詞thatの場合は、関係詞節(N2)を前方の名詞ないしは名詞相当語句である「先行詞」(N1)に「接続させる働き」だけではなく、関係詞自らが関係詞節(N2)の一つの構成要素(例えば、主語や目的語や補語)になっているのです。


(訳出における効力関係)
同格の場合:N1=N2(対等関係)
関係詞の場合:N1>N2(主従関係)


以上のことを踏まえて訳し分けしなければなりません。

同格の接続詞に用いられる前方の名詞(N1)の種類、例えばfactやdoubtなど、また関係詞の先行詞(N1)の種類に頼って訳出することは避けなければならないということです。

それぞれの語彙の構造的機能、特に従属節(N2)内の従動詞の構造的機能を把握することによって、原文の真の文意を把握することができるし、そしてそれを言語変換する方法が訳出法と日本語表現法なのです。

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