□構造式: A(名詞) + 前置詞 + B(名詞)
□具体例:The Trump administration’s seizure of an oil tanker ~(前置詞ofに注目)
 ⇒展開式1:seizure(名詞) of an oil tanker(名詞) (ofが2つの名詞を接続)
 ⇒展開式2:seize an oil tanker(V+O / ofの目的格用法)


前置詞の基本的な「構造的機能」は、自らが抱える目的語の名詞を前方の動詞(名詞化されることがある)に接続することです。上記の構造式でいうと、前置詞は、名詞Bを抱えて前方の名詞Aにつなぐ働きを持っているということです。

この前置詞の働きによって、2つの構造物であるAとBの一体性が生まれ、「BのA」と訳出できるのです。この法則を上記の展開式1に当てはめると、「石油タンカーの拿捕」と訳出できます。この訳出ができるためには、2つの要素、1つは前置詞の「構造的機能(働き)」を知ること、そしてもう1つは、前置詞の持つ「の」という意味を知ることによって成り立つ論理なのです。

実に単純な作業ではないか!と思うかもしれませんが、実社会においてこの程度の知識では全く役立たないのです。なぜかというと、一言で言うと「前置詞の構造的機能はもっと複雑」だということです。1つは、前置詞には沢山の種類があること、また様々な用法(意味)があること、そして2つは、上記の構造式でいうと構造物Bは前置詞の直後にあるから特定しやすいけれども、構造物A(被接続語)は前置詞の遠く前方に離れて存在することが一般的であるために、どのようにして特定するかという問題があること、最後の3つは、仮に構造物Aを特定しても上記のように単純に「BのA」と訳出しても、意味不明という結果になるということです。

その解決法が、上記の展開式2なのです。要するに、英文に不可欠な構造物である「前置詞」を処理するためには、最初に述べた前置詞の基本的な構造的機能を深く理解することなのです。つまり、「前置詞の基本的な構造的機能は、自らが抱える目的語の名詞を前方の動詞(名詞化されることがある)に接続すること」であるために、仮に被接続語が名詞であっても、その名詞を「動詞化」して捉えることによって、被接続語(上記の構造式でいえば、構造物(A)を的確に特定できるのです。

ということは、訳出においても展開式2のように、「主述関係(nexus法則)」によって明快な日本語に変換できるということです。英文構造の中心的な原理である「nexus法則」を再認識してください。

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□ 構造式: S1+V1, that S2+V2(接続語thatの用法)
 ⇒展開式1: S1+V1, (so) that S2+V2 (soとthatの省略)
 ⇒展開式2: S1+V1, so (that) S2+V2 (thatの省略)
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英文構造は、「主述関係」で構成する主文と、それに「不定詞語句」や「前置詞語句」、さらには主文との関係で「等位節」や「従属節」を加えた構造の表現法です。そして、主文を「主要構造物」とすれば、それ以下の構造物を「付加的構造物」と呼びます。

英語nativeは文頭の「主述関係」である「主要構造物」から文末の「付加的構造物」に至るまで、言うまでもなく「付加的構造物」の主文との関係如何を問わず、「左から右方向へ」読み進めます。

つまり、主文と「付加的構造物」との関係が、「対等(等位)関係」にあるか「主従関係」にあるかの区別をすることなく、英文は「左から右方向へ」向けて表現されます。この現象を「後置用法(後付け方式)」と呼びます。

一方、日本語の表現法は、「前置用法(先付け方式)」といって、主文と「付加的構造物」との関係が、「主従関係」にある場合には、主文の構造物である接続の相手方よりも先に、具体的には「右から左方向へ」訳し上げる表現になるのです。

ということは、上記の構造式のように接続語(that)の直前に一時切断の「カンマ記号」がある場合、接続語(that)の構造的機能は、基本的には前節と後節の関係を「対等関係」とみて、日本語表現においても「左から右方向へ」訳し下げることになります。

しかし、前節と後節の関係が「主従関係」関係にある場合には、日本語表現は「前置用法(先付け方式)」ですから、「右から左方向へ」訳し上げることになります。

そこで、構造式の表現である接続表現「, that」の構造的機能は、果たして前節と後節を「対等関係」に接続しているのか?、それとも「主従関係」に接続しているのか?ということになります。

その決定に当たって、先ず表現法として上記のように「展開式1」と「展開式2」があり、基本的な表現法は「, so that」であって、構造式は「副詞so」の省略形です。

次に、その接続の用法ですが、基本的には前節が「原因」となり後節がその「結果」なる「等位接続語」だということです。訳出は、原因・結果を繋ぐように「それで、その結果」となりますが、その決定基準は上記の構造式で示すと2つの動詞「V1とV2の関係」から判別します。

もう一つの用法に「条件(if)」があるのですが、この場合は前節と後節の関係が「主従関係」になり、日本語の表現法は「前置用法(先付け方式)」で、「右から左方向へ」訳し上げることになります。

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□構造式1: allow+ O to-inf (V+O+C )
⇒展開式:O to-inf(O+C = S+V)

□構造式2:it is+C (for them) to-inf
⇒展開式:(for them) to-inf (for+O to-inf = S+V)
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「意味上の主語(sense subject)」は、「文法上の主語」に対して用いられる用語であり、文中で「文法上の主語」以外の主語の表現法を指します。

「意味上の主述関係」の形態は多様であるために分類化しなければなりませんが(拙著の中で論じた記憶があります)、ここでは2例(不確かですが、全部で5例だったと思います)を取り上げました。構造式1の展開式では「allowの目的語O」がそれにあたり、構造式2の展開式では「forの目的語O」がそれにあたります。

「文法上の主語」と「意味上の主語」の見分け方は、一般的に「文法上の主語」は節の文頭にあって、述語との間に「一致の法則」が適用されていますが、「意味上の主語」は、広義でいうと文中の「動詞ないしは動詞の変化形」があるところには、必ずその直前か前方に「意味上の主語」があるのです。これが英文の中心的構造であり、「nexus法則」の姿なのです。従って、「意味上の主語」もこの「nexus法則」に基づいた英文構造の一つの構造物ということです。

構造式1は、動詞の種類による基本文型でいうと「第5文型」です。なぜ英文の基本文型が動詞の種類によるかというと、動詞の「構造的機能」によって主語があるし、目的語も補語あるからで、その意味で動詞は英文構造の中心的文要素ということになります。

この「第5文型」の不完全他動詞allowの「構造的機能」によって、直前に「文法上の主語」があり、主語と動詞の間に「一致の法則」が成立し、背後に目的語Oと補語Cが配置されています。

その補語(C)に動詞の変化形の「to不定詞」が使用されていることから、この「to不定詞」は自動的に「意味上の述語」となります。そして、直前の目的語Oが「意味上の主語」になります。その場合の「意味上の述語」である補語をnexus法則から「目的格補語」と呼びます。

構造式2は、通称「(for)~to構文」と呼ばれる表現法で、前置詞forの目的語と直後の不定詞to-infとの間に「意味上の主述関係」が形成されます。その場合、「意味上の主語」であるfor-phrが省略されることもありますが、それはこの「意味上の主語」が「一般人称(us、them)」の場合に生じる現象です。

このように英語では、英文の構造論において「文法上の主述関係」と「意味上の主述関係」を明確に区別しているのですが、もちろん日本語にはそのような法則(二重構造の「主従関係」)はありません。では、日本語でその区別をどのように処理するのか?ということです。つまり、日本語への訳出に際して、「意味上の主語」である構造式1の「目的語」を目的語としてではなく「主語」として、また構造式2の「for-phr」を副詞語句としてではなく「主語」として訳出しなければならないか?ということです。

この問題は、言うまでもなく日本語の表現法の問題であり、「nexus法則」を前提とした英文構造の文頭語法や動詞語法の「構造的機能(役割、働き)」について考察し、その考察に基づく日本語の捉え方によって決定されるものと考えています。

この問題に関する私自身の捉え方は、翻訳する場合、往々にして「文法上の主述関係」を「副詞語句的に」変換し、逆に「意味上の主述関係」を「文法上の主述関係」に格上げした方法で変換するようにしているのです。理由は、その方が「文章の構造」を重視しない日本語において英文の文意をより忠実に再現できるということからです(拙著「でんしゃ理論」における「文頭システム」欄)。


構造式:S1+V1 before S2+V2
⇒ 展開式1:After S1+V1, S2+V2
⇒ 展開式2:S1+V1, and then S2+V2


第一回目の「翻訳テクニック1」のテーマは、上記の構造式で示したように従属節(before-cl)を翻訳するに当たってどのように扱うかというものです。

語順から見れば、従属節は基本的な表現法として主節の次に位置していますが、日本語に変換するに当たって、語順に従い「主節の後」に訳出すべきなのか、それとも日本語の表現法(前置用法)と英文構造の文要素(動詞)が持つ「構造的機能」に従って、「主節の前」に訳出すべきなのか、これについて解説します。

文頭の主節に対して、従属接続詞beforeが抱えるS2+V2を従属節と言います。

この主節と従属節の効力関係(力関係)は、「主従関係」で、従属節は主節の存在を前提として存在しているのです。従って、文意の中心は主節、特にその中心的文要素である「動詞」(これを「本動詞」と呼ぶ)によって決定されるのです。

では、その主節に対して従属節(before-cl)は構造的に「どのような方法」で接続されているかということです。それが、従属接続詞beforeの「構造的機能(用法・働き)」の問題です。

従属接続詞の「構造的機能(用法・働き)」の原則は、「従動詞を本動詞に接続させる」という働きです。上記の構造式でいうと、従動詞V2を抱えて本動詞V1につなぐというものですから、訳出する場合「V2⇒V1」の語順で訳出します。これを「訳し上げ」(右から左へ)と呼びます。

英語nativeは、従属節であっても構造式の語順で「訳し下げ」(左から右へ)て、読解しているのです。要するに、英語と日本語とでは、従属節の扱い方が異なっているということです。この現象を指して、英語は、従属節を主節の後方に位置させることから「後置用法(後付け方式)」と呼び、そして日本語は上記のように従属節を主節の前方に置く(「V2⇒V1」)ことから「前置用法(先付け方式)」の言語ということになります。

そこで、日本語に変換する場合、上記のように接続語の「構造的機能」に従って訳出すれば、仮に「訳し上げ」ても、原文の英語と「同一文意」になるのか?ということです。実際的に、我が国の教育や実務界においてこの方法が行われているのですが、仮に主節と従属節の接続部分の「構造的機能」に従って訳出したとしても、主節と従属節の「主従関係」が崩れ、主節で示す「筆者の主張」が少なくとも不明瞭になります。

この問題は、文意における「論理性の崩壊」に繋がります。英語は、文頭の主節で「筆者の主張」を示し、以下の語句・節、さらには後文でその「筆者の主張」を証明したり、また「論理展開」するという科学的な表現法です。その意味で、邦訳する際に「英語の語順」を無視することはできないのです。

私は、英文の後方にある「付加的構造物」の扱い方について、可能な限り(文末に本動詞を置く日本語の表現法と接続語の「構造的機能」の問題はあるが)英文の語順に従って「訳し下げる」ように指導しているのです(日本語の世界共通語化)。  *上記の展開式を参照

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