構造式:S1+V1 before S2+V2
⇒ 展開式1:After S1+V1, S2+V2
⇒ 展開式2:S1+V1, and then S2+V2


第一回目の「翻訳テクニック1」のテーマは、上記の構造式で示したように従属節(before-cl)を翻訳するに当たってどのように扱うかというものです。

語順から見れば、従属節は基本的な表現法として主節の次に位置していますが、日本語に変換するに当たって、語順に従い「主節の後」に訳出すべきなのか、それとも日本語の表現法(前置用法)と英文構造の文要素(動詞)が持つ「構造的機能」に従って、「主節の前」に訳出すべきなのか、これについて解説します。

文頭の主節に対して、従属接続詞beforeが抱えるS2+V2を従属節と言います。

この主節と従属節の効力関係(力関係)は、「主従関係」で、従属節は主節の存在を前提として存在しているのです。従って、文意の中心は主節、特にその中心的文要素である「動詞」(これを「本動詞」と呼ぶ)によって決定されるのです。

では、その主節に対して従属節(before-cl)は構造的に「どのような方法」で接続されているかということです。それが、従属接続詞beforeの「構造的機能(用法・働き)」の問題です。

従属接続詞の「構造的機能(用法・働き)」の原則は、「従動詞を本動詞に接続させる」という働きです。上記の構造式でいうと、従動詞V2を抱えて本動詞V1につなぐというものですから、訳出する場合「V2⇒V1」の語順で訳出します。これを「訳し上げ」(右から左へ)と呼びます。

英語nativeは、従属節であっても構造式の語順で「訳し下げ」(左から右へ)て、読解しているのです。要するに、英語と日本語とでは、従属節の扱い方が異なっているということです。この現象を指して、英語は、従属節を主節の後方に位置させることから「後置用法(後付け方式)」と呼び、そして日本語は上記のように従属節を主節の前方に置く(「V2⇒V1」)ことから「前置用法(先付け方式)」の言語ということになります。

そこで、日本語に変換する場合、上記のように接続語の「構造的機能」に従って訳出すれば、仮に「訳し上げ」ても、原文の英語と「同一文意」になるのか?ということです。実際的に、我が国の教育や実務界においてこの方法が行われているのですが、仮に主節と従属節の接続部分の「構造的機能」に従って訳出したとしても、主節と従属節の「主従関係」が崩れ、主節で示す「筆者の主張」が少なくとも不明瞭になります。

この問題は、文意における「論理性の崩壊」に繋がります。英語は、文頭の主節で「筆者の主張」を示し、以下の語句・節、さらには後文でその「筆者の主張」を証明したり、また「論理展開」するという科学的な表現法です。その意味で、邦訳する際に「英語の語順」を無視することはできないのです。

私は、英文の後方にある「付加的構造物」の扱い方について、可能な限り(文末に本動詞を置く日本語の表現法と接続語の「構造的機能」の問題はあるが)英文の語順に従って「訳し下げる」ように指導しているのです(日本語の世界共通語化)。  *上記の展開式を参照

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